楽器博日記

浜松市楽器博物館の公式blogです。 公式ホームページはこちら

2009/04/30

ブログ終了・楽器博かわら版がはじまります

長い間ご愛読いただきましたブログは、5月から「楽器博かわら版」として再出発します。楽器博の活動報告や予定など、様々な情報を発信していきますので、引き続き「楽器博かわら版」をよろしくお願いします。
楽器博かわら版はこちらから。

2009/03/21

リードオルガンとオーケストラの協演

3月19日に静岡市のグランシップ・中ホール海で、NHKのテレビ番組「あなたの街で夢コンサート」の公開収録がありました。オーケストラが日本各地を回って、その土地の音楽家やゲストともに演奏したりお話したりするという音楽番組です。今回は静岡県がテーマで、日本一というお話の中で、富士山、駿河湾の深さ、桜海老の生産、お茶の生産などとともに、楽器の生産が取り上げられました。
 楽器といえば、そう、県西部、この浜松市が中心です。日本の西洋楽器のほぼ100%を生産しているわけです。そのルーツといえば、明治21年に山葉寅楠(やまはとらくす)(現代の楽器メーカーヤマハの創業者)が大量生産を開始した足踏み式のリードオルガン。明治の洋楽教育・学校教育の中でたくさん使われました。昭和30年代までこの足踏み式は使われていましたから、50代以上の人にとっては毎日学校の教室で接した懐かしの楽器でもあります。現在はもう生産されていませんから、若い人にとっては新鮮な楽器。
 この番組では、楽器博物館所蔵の大正時代と昭和12年頃の浜松製リードオルガン3台と、東京の個人所有の横浜製とアメリカ製の2台、計5台のリードオルガンが、東京フィルハーモニー交響楽団とともにサティの名曲“ジュ・トゥ・ヴ”を演奏。なんともいえない美しい響きをかもし出しました。オーケストラとリードオルガン5台の演奏なんて、おそらく世界初の試みでしょうね。
 この番組の放送日は5月1日(金)午後9時からBS2、5月10日(日)午後4時からBSハイビジョンです。是非ご覧になってください。(館長)

2009/02/24

大正琴展 好評のうちに閉幕

11月から行っていた企画展「大正琴の世界」が終了しました。大正琴の誕生から現在までの変遷を、楽器の構造や時代背景、発明者である森田の人物像など、様々な観点をからめて紹介しました。展示に使用した楽器は全部で70点。ごく初期の大正琴から、最新式の大正琴まで、見た目にも楽しい多種多様な大正琴が並びました。会期中には15128人のお客さんが訪れ、体験コーナーに用意した3台の大正琴はいつも大人気。楽器に全然触れたことがないという人から「これならとっつきやすく、自分にもできそうだ」という声も聞かれました。大正琴の愛好者人口は数十万といわれていますが、今なお愛され続ける大正琴、ブームが訪れているのかもしれません。

2008/12/21

ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ

 年の瀬迫る12月14日の日曜日、レクチャーコンサート「バッハ:無伴奏チェロ組曲‐ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラによる‐」を開催しました。今回使用した楽器は、ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ。名前にあるとおりチェロの一種ですが、「スパッラ」は「肩」の意味で、ヴァイオリンのように楽器を寝かして演奏するチェロです。ただし、ヴァイオリンやヴィオラよりも大きくて肩にはのせられないため、ベルトで首から吊るします。長らく絶えていた楽器ですが、近年復元・製作されました。
 出演の寺神戸亮さんは、チェリストではなくヴァイオリニスト。ヴァイオリンと同じテクニックで弾けるのがこの楽器の特徴とのことで、バッハの無伴奏チェロ組曲を演奏しました。いろいろな資料や楽譜を研究していくと、どうもバッハがこの曲を作曲するときに想定していた楽器は現代のチェロではなく、この横に構えるヴィオロンチェロ・ダ・スパッラだったらしい、ということを様々な資料をスクリーンに映しながら謎解きのように解説していきました。横向きにチェロを構えている絵が映し出されると、会場からも驚きの声が上がっていました。
 これが本当の姿かも知れない……という楽器でバッハの名曲を聴く、楽しい演奏会となりました。(北川)

2008/12/17

移動楽器博物館

 12月1日から5日まで白脇小学校にて移動博物館をおこないました。移動楽器博物館は市内の小学校を回り、楽器を通して世界の様々な文化を紹介している大切な博物館活動です。
サボテンでできた雨の音がする楽器‘パロ・デ・ジュビア’(スペイン語で「雨の棒」という意味)や、アフリカの‘お話し太鼓’、‘親指ピアノ’など、初めて見る楽器に、こどもたちは興味津々でした。なかでも小学校2年生の国語の教科書に載っている「スーホの白い馬」というモンゴルの民話に出てくる‘馬頭琴は’大人気。休み時間や昼休みにも「馬頭琴弾きたい!」とたくさんのこどもたちが集まってきます。
 移動博を終えた週末には、おうちの方を連れて大勢の白脇小のこどもたちが楽器博物館に遊びにきてくれました。
 これからも楽器博物館は小学生と仲良くなりたいですね。(伊藤)

2008/11/13

企画展「大正琴の世界」

 11月9日から企画展「大正琴の世界」が始まりました。会期は来年2月1日までです。
 大正琴は現在愛好者人口数万とも数十万とも言われる国民的楽器。中高年はもとより最近は学校教育でも授業やクラブ活動に採用されています。
 この大正琴、生まれは大正元年で、考案者は森田吾郎さん。名古屋、大須の人です。森田屋旅館の息子さんなのですが、小さい頃から音楽が好きで、月琴、一弦琴、二弦琴などをたしなみました。特に明笛の演奏は上手だったそうです。そんな森田吾郎は、楽器の発明も行いました。バンジョーのようなムーンライトや、陽琴、金剛琴などですが、現在にまで伝承しているのが唯一この大正琴。
 企画展では、森田吾郎の人物像や各時代の大正琴、世界に広がった大正琴を紹介しています。11月29日には名古屋芸術大学教授金子敦子氏の講演会も開催。大正琴の魅力を再発見してください。(館長)

2008/09/01

ハーモニカ・コンサート

 今年の夏の驚異的な暑さもようやく落ち着き、今日からいよいよ9月です。楽器博物館は、中国敦煌莫高窟壁画からの復元楽器とブラジル各地の楽器の展示を見学にこられた皆さんで賑わいました。モンゴルの馬頭琴は、体験コーナーの新設やワークショップ、ミニコンサートを行い大人気でした。体験コーナーは今後も常設ですので皆さん是非おいでください。
 さて、9月のお楽しみは23日のレクチャーコンサートです。世界的にも絶大な人気のスーパーハーモニカ四重奏団スヴェングを、フィンランドからお招きしての開催です。北欧トラッドからタンゴにブルース、ラグタイム、アニメ音楽まであらゆるジャンルの音楽を楽しく超絶技巧で吹き飛ばします。大阪や東京ではチケット完売も。浜松はホールも小さいのでプレイヤーとの親近感も増します。皆さんこの機会を是非お聴き逃しなく。(館長)

2008/08/21

琴と箜篌

 琴(きん)は紀元前より現代まで伝承する中国の7弦のコト。古琴(こきん)とか七弦琴(しちげんきん)とも呼ばれます。琴柱(ことじ)がなく、左手で弦を押さえて音程を変えます。琴の音楽はユネスコの世界無形文化遺産に登録されています。箜篌(くご)もやはり紀元前にアッシリアに生まれたハープ。漢の時代に中国に伝わり唐の時代に最も栄えた楽器です。しかし残念ながらその伝承は途絶えてしまいました。
 このふたつの古代楽器のミニコンサートを8月10日(日)におこないました。演奏は琴が山寺美紀子さん、箜篌が杤尾麗さん。有名な漢詩を曲にした「陽関三畳」、敦煌琵琶譜から「傾杯楽」「又慢曲子」ほかを演奏しました。
 琴はささやくような小さな音響。しかしその繊細なニュアンスの素晴らしさは筆舌につくしがたいものがあります。箜篌は見た目にもエレガント。琴に比べると大きな音ですが、やはりひとつひとつの音を大切にして、語りかけるように演奏します。
 何千年も生きてきたふたつの楽器。古代シルクロードの音に酔いしれました。なお前日の9日には「甦る古代中国の音」と題して、明木茂中京大学教授による講座を行いました。(館長)

2008/08/18

馬頭琴体験コーナー

 馬頭琴の体験コーナーができました。楽器博物館には1階展示室の一番奥に体験ルームがあって、アフリカのジェンベ太鼓や親指ピアノ、ハンドベル、アンクルン、ピアノ、ギターなどが自由に演奏できますが、そこにモンゴルのあの有名な馬頭琴が加わりました。小学校2年生の国語の時間に「スーホの白い馬」という馬頭琴誕生の物語を習うので、日本人ならほとんどの人が知っている楽器ですが、体験することはなかなかありません。楽器博物館でも今まで展示はしていましたが、やっと自由に演奏できる体験コーナーができました。連日大人気です。壁にはモンゴル大草原の写真がはってあるので、記念写真にももってこいのコーナーです。音を鳴らすのはなかなか難しいのですが、皆さん挑戦しています。ぜひ体験してください。ただし、弦楽器はとても繊細で壊れやすいので、取り扱いはやさしくていねいにしてくださいね。(館長)

2008/08/14

馬頭琴ワークショップ

 6日(水)にモンゴルの弦楽器「馬頭琴」のワークショップをおこないました。参加者は小学校4年生から6年生までの17人。講師は馬頭琴レクチャーグループ「サランモル」の皆さん6人。
 写真を見ながらのモンゴルの大草原のお話、モンゴルに暮らす動物のお話、お家「ゲル」の話、モンゴルの踊りを踊って、モンゴル衣装を着て、おいしいスーティ茶を飲む。そしてお待ちかねの馬頭琴の体験。30分くらいでキラキラ星がひけるようになりました。
 「モンゴルの服を着て、馬頭琴やお茶を飲んだりして、まるでモンゴル人になった気分になって、とても楽しかったです。モンゴルの説明もわかりやすくて、モンゴルに行ってみたいと思いました。」と小学6年生の女の子。
 馬頭琴は小学校2年生の国語教科書で勉強する「スーホの白い馬」の楽器。本物がひけて、みなさんとても満足の様子でした。(館長)

2008/08/04

中国古代楽器のミニコンサート

 3日(日)に展示室で特別展「敦煌莫高窟壁画からの復元楽器」の関連イベントとして、中国古代楽器のミニコンサートを行いました。五弦琵琶(ごげんびわ)、阮咸(げんかん)、編鐘(へんしょう)、編磬(へんけい)、方響(ほうきょう)の5つです。演奏は五弦琵琶と阮咸がウェイウェイさん、その他が孟暁亮(モン・シャオリャン)さん。
 五弦琵琶と阮咸は正倉院所蔵の国宝、7世紀の楽器のレプリカ。編鐘と編磬は2300年前の中国の古代遺跡、曾侯乙墓(そうこういつぼ)からの出土品の模型です。
 敦煌で発見された古代楽譜から復元された曲「傾杯楽」(けいばいらく)他を演奏しました。現代の中国音楽とはまったく趣の異なる曲ばかりで、すべてはゆったりと流れる曲。聴衆は優雅な古代音楽を楽しみました。
 9日には「甦る古代中国の音」と題した講座、10日には中国古代楽器ミニコンサート第2段「古琴(こきん)、箜篌(くご)=ハープ」が開催されます。ぜひお越しください。(館長)

2008/08/03

特別展「音彩浪漫ブラジル紀行」

 7月13日から始まっている特別展「音彩浪漫ブラジル紀行」。サンバだけではないブラジル音楽の魅力を紹介しています。
 ブラジルは南米大陸の約半分、世界第5位、日本の23倍という広大な面積の国。人々も黒人、白人、インディオと、その何世代にもわたる混血、そして近年では多くのアジア人と複雑多彩で、それがそのまま文化の多様性につながっています。
 底抜けに明るくにぎやかなサンバ、オリシャの神々に祈る黒人系宗教のカンドンブレ、モザンビーキ、マラカトゥ・フラウ、コンガータなどキリスト教やアフリカ系の沢山の地方色豊かな伝統芸能、自然と共に暮らし精霊を敬うアマゾン・インディオの祭礼など、ブラジル人でさえあまり知らないブラジルの音楽・芸能の数々を紹介しています。
 日本人がブラジルに移民して100年の記念の年です。是非ご観覧ください。(館長)

2008/07/06

敦煌復元楽器展

特別展「敦煌莫高窟壁画からの復元楽器」が今日から始まりました。世界遺産にもなっている中国の敦煌莫高窟には膨大な数の極彩色の壁画が描かれています。つい先ごろNHKのBS放送でも「美の全貌」と題して放送されました。音楽を演奏している場面もたくさん描かれていて、楽器が全部で6000点ほど登場します。中国の敦煌研究院はこの絵画から楽器を復元する研究を1980年代から始め、90年代初めに35種60点の復元に成功しました。その復元楽器が1セット兵庫県伊丹市のアイフォニックホールに所蔵されています。今回の特別展はこのアイフォニックホールから楽器をお借りして実現したものです。
敦煌の復元楽器のほかに、奈良東大寺正倉院所蔵宝物楽器の復元品と、中国の馬王堆遺跡、曽侯乙墓遺跡出土楽器の復元模型も展示しています。敦煌を中心としたシルクロードの壮大な音楽文化を感じていただくことができるでしょう。
会期中8月2日と10日には中国古代楽器のミニコンサート、9日には「甦る古代中国の音」と題した講座も開催します。この夏は、はるか昔のシルクロードの音世界を探求してみませんか。(館長)

2008/06/26

夏の特別展

 今年は日本人がブラジルに移民して100年という記念の年。先日ブラジルでは、国を挙げての記念式典が行われました。日本の皇太子殿下も出席されました。浜松市は日本で一番多くのブラジル人が住んでいる都市なので、浜松市長も出席しましたし、市民の有志もブラジルに行って浜松名物の大凧揚げを現地の人と一緒にしました。
 さて、楽器博物館では、この日本ブラジル交流年を記念して、7月13日から特別展「音彩浪漫ブラジル紀行」を開催します。ブラジルといえばサンバが有名ですが、サンバの他にも黒人系の音楽や先住民インディオの音楽など、多彩な音楽文化が存在します。実物の楽器や写真、映像を使って、そんなブラジルの情熱あふれる音楽と楽器を紹介する日本初の展覧会です。写真は黒人宗教カンドンブレの楽器の展示準備風景。
 また8月は北京オリンピックですので、中国にちなんで、7月6日から特別展「中国敦煌莫高窟壁画からの復元楽器」をします。奈良正倉院所蔵の楽器の復元品や、中国古代遺跡から発掘された楽器の模型もあわせて展示します。こちらは古代音楽のロマンを味わえる展覧会。
 ブラジルと中国。皆さん、ぜひお越しください。(館長)

2008/06/06

アイリッシュハープ

 今年度の第1回目のレクチャーコンサートを来週の月曜日6月9日に開催します。登場する楽器は「アイリッシュハープ」。ビール好きの方は有名なギネスビール(あのギネスブックも発行している会社)をご存じだと思いますが、そのマークがこのアイリッシュハープですね。アイルランドのコインの浮き彫りもこのハープ。そしてなによりも、アイルランドの国の紋章が、このハープなのです。
アイリッシュハープは12世紀に現れ18世紀末まで使われたのですが、19世紀はじめに絶滅寸前になりました。ジョン・イーガンという人物がその危機を救って、伝統的なアイリッシュハープに似せて新しい楽器を作りました。これが今日使われるアイリッシュハープです。
今回の演奏者はアイルランド最高の奏者の一人グローニャ・ハンブリーさん。守安功さんらのアイリッシュフルートなども交えて、素晴らしいアイルランド音楽をお届けします。ぜひお越しください。(館長)

2008/05/31

馬頭琴研修

 5月14日に楽器博物館のスタッフ全員が馬頭琴の演奏研修を受けました。馬頭琴はモンゴルの伝統的な民族楽器で、中国語では馬頭琴、モンゴル語ではモリン・ホールといい、とても人気がある楽器です。というのは、モンゴルという国に日本人が親近感持っていることに加えて、日本の小学校の2年生の国語の教科書に「スーホの白い馬」という、馬頭琴誕生伝説のお話がのっていて、小学生がみんな勉強するからです。この物語は単独の絵本になっていますから、きっとご存知の方も多いでしょう。さて、当日の研修ですが、先生は馬頭琴レクチャーグループ‘サランモル’の皆さん3名。教材は「天の風」という三拍子のゆっくりとした曲。3時間のレッスンで、なんとかひけるようになりました。馬頭琴は夏休みには体験ルームに登場しますので、皆さんにもひいていただける予定です。(館長)

2008/05/04

タペストリー

楽器博物館入口ロビーのガラス壁面と展示室に、素敵なタペストリーがお目見えしました。東京在住の画家ハラダチエさんの作品でガラス面に4枚、展示室に2枚の計6枚です。ヴァイオリン、チェロ、ピアノ、オーボエ、トランペット、ハープを演奏している人物が、軽やかなタッチで描かれています。2007年5月19日のブログでも紹介しましたが、ハラダさんは昨年5月に楽器博物館のために、世界の楽器を演奏している風景を描いた畳一畳以上もある絵画「ハーモニー」を製作してくださいました。これは浜松東ロータリークラブが、クラブ創立50周年を記念して楽器博物館に寄贈してくださったものです。そんなご縁もあって、今回もタペストリーの絵を提供してくださいました。音が聞こえてくるような、素敵な絵です。ぜひご覧ください。(館長)

2008/05/03

スチールパン

ゴールデンウィークのミニコンサートが始まりました。第1回の今日はカリブ海の島国、トニダード・トバゴのシンボルとも言える楽器スチールパンです。スチールドラムとも言いますが、正しくはスチールパン。普通のドラム缶から作った鉄の太鼓ですが、石油を入れる容器であるドラム缶のイメージとは全くかけ離れた、とても心地のよい澄んだ響きのする楽器です。大小さまざまなスチールパンを何十人もの演奏者で合奏するのが通常のスタイルで、CDなどでお聞きになられた方も多いと思いますが、今回は関西在住の名手、村治進さんのソロの演奏。田島隆さんのギター伴奏に乗って、カリプソ、キューバン、映画音楽など、次から次へとスムースなメロディが流れます。初夏のひと時、展示室がカリブ海になりました。(館長)

2008/03/31

CD新発売

  楽器博物館コレクションシリーズCDのNo.14と15を25日に発売しました。どちらもベートーヴェンの作品を収録し、使用楽器は1810年ウィーンのワルター&サン製作のフォルテピアノ。このピアノは過去にCDNo.7「舞踏への勧誘」でソロアルバムとして演奏していますが、今回の2枚はソロ、ヴァイオリンやチェロとのデュエット、弦楽四重奏や五重奏などとの室内楽アンサンブルなど多彩なプログラム。14は交響曲第2番とピアノ協奏曲第4番、15はピアノソナタ「月光」と「悲愴」、ヴァイオリンソナタ「春」、それにチェロとの「『魔笛』より『恋人か女房か』の主題による変奏曲」。べートーヴェンの名曲集といったところです。現代のピアノでの演奏と比べると、どの曲も弦楽器との調和がとても素晴らしくて、ピアノは弦楽器なのだ、ということを実感させてくれます。演奏は日本を代表するプレイヤーの皆さんです。「春」を聞くと、ほんとうに「春だなあ」と感じられる、今の季節にピッタリのアルバムです。(館長)

2008/03/30

レクチャーコンサート「トルコの民俗音楽と踊り」

 24日の午後6時半からレクチャーコンサート「トルコの民俗音楽と踊り」を開きました。トルコ民族音楽の教育・演奏の最高峰国立イスタンブール工科大学トルコ民族音楽院の先生と生徒、卒業生からなる「トゥルコアーズ民族舞踊アンサンブル」が出演。お話はトルコ在住のフリーライター、コーディネーターである細川直子さんと館長。
 とにかく、明るく楽しい演奏会でした。1曲目は厳粛雰囲気の宗教儀式音楽と旋回舞踊のセマでしたが、2曲目からはトルコ各地の楽しい歌と踊り。チャルメラの祖先のズルナ、大太鼓の祖先のダウル、木製スプーンのカシュックなど沢山の楽器の演奏に合わせて次から次へと続きます。男性の力強い踊り、女性の優雅な踊りに聴衆の目はくぎ付け。女性ダンサーの美しい民族衣装には感嘆の声。日本にもある「腹踊り」では客席は大笑い。あっという間の2時間でした。トルコは世界でもとても親日の国。出演者の皆さんも日本での最後の演奏会とあって、サービス精神満点で演奏してくださいました。(館長)

2008/02/29

東京公演迫る

 静岡文化芸術大学との共同企画コンサート「クララ&ロベルトシューマン 愛、輝きと優しさ」の東京公演まであと3日となりました。本日は、東京公演で使う館蔵フォルテピアノ(C.グラーフ作 ウィーン 1820年)の搬出作業を行いました。現代のピアノは、脚を取り外し本体を立てて輸送しますが、フォルテピアノは立てると本体がゆがんでしまうので、脚を取り格子状の柱に固定して輸送します。慎重に梱包作業をしつつ美術品専用のトラックで一路東京へ向かいました。現代のピアノとまた味の違う繊細なフォルテピアノの音色を東京公演でも奏でてくれることでしょう。(U)

2008/02/19

 年末年始とブログをアップできず、長い間失礼しました。2008年になったと思ったら、もう2月も下旬、時の経つのがとても早く感じます。
 さて昨年12月1日には、アクトシティ中ホールで政令指定都市移行記念として第73回レクチャーコンサートを開催しました。当館所蔵の王室御用達でもあったパリの名工ブランシェ2世の手による世界的にも貴重な1765年製チェンバロを使い、演奏は世界的名手の中野振一郎さん、テーマは「18世紀ヴェルサイユ・クラヴサン音楽の美の世界」。クープランを始め、ラモー、デュフリ、フォルクレなどフランス・ロココ文化円熟期の作曲家の作品を演奏しました。言葉では表現できない繊細で優雅な響きがホールに満ちあふれました。
 この演奏会はNHKがすべてをビデオ収録。その模様は今月8日と15日にNHK衛星放送ハイビジョンクラシック倶楽部にて放映されました。また再放送もあるようですので、わかりしだいホームページにてお知らせいたします。今回見逃した方は楽しみにお待ちください。またこのコンサートで演奏された曲を数多く収録したCDも同時に発売しましたので、お楽しみいただけたらと思います。収録曲など詳しくはホームページをご覧ください。(館長)

2007/11/21

ニッケルハルパの響き


 11月17日(土)にミニコンサートでニッケルハルパを演奏しました。演奏は本田倫子さん。ニッケルハルパというのはスウェーデンの弦楽器で、ウップランド地方に伝わる、弓でこすって演奏する楽器です。ニッケルは鍵、ハルパはハープ=弦楽器という意味なのですが、これがなかなか珍しい楽器なのです。
 まず弦は16本。そのうち実際に弓でこするのは3本のみ、あとの12本は共鳴用と1本はドローン弦。左手音の高さを変える操作をしますが、ヴァイオリンやギターのように直接指で押さえるのではないのです。ネックにキー(=木の棒)が沢山付いていてこれを押さえると木片が弦を押さえてくれるのです。難しそうに思えますが、慣れると帰って簡単なのだそうです。
 音は、とにかく共鳴弦がよく響いて、透明感のある余韻が心地よく、ちょっと他の楽器では味わえないもの。民謡や舞曲の演奏で気持ちのいいひとときを過ごしました。来年5月にもまたこの楽器のミニコンサートをする予定です。(館長)

2007/11/20

企画展「親指ピアノ」

 昨日11月3日より秋の企画展「親指ピアノ」が始まりました。12月2日までです。ピアノといっても、皆さんよくご存知のあのピアノではありません。細くて薄い鉄の板が数本から数十本、お弁当箱くらいの大きさの板や箱についていて、それを両手の親指ではじいて鳴らす楽器です。ちょうどオルゴールのような仕組みですね。アフリカのサハラ砂漠以南に広く分布する楽器で、地域や民族によって形態が違いますし、名前もリンバとかムビラとかサンザとかカリンバとか色々です。ですから、ヨーロッパ人の研究者がまとめて親指ピアノという名前を考えたのです。
 中でもよく知られているのはジンバブエのムビラとタンザニアのリンバです。ムビラは大きな半球状のヒョウタンに入れて共鳴させます。リンバにはクモの卵のうの幕を張ってビリビリ響かせます。自分の楽しみのためや、儀式で演奏します。
 オルゴールのようなカワイイ音色からなかなか迫力ある音まで楽しめる親指ピアノ。展覧会には映像コーナーや体験コーナーもありますので是非おいでください。(館長)

2007/10/09

レクチャーコンサート「アイリッシュ・アフタヌーン」


 しばらくブログをお休みしていました。涼しくなったりまた暑くなったりの9月でしたが、10月になってようやく涼しくなりました。
10月最初の日曜日の7日はレクチャーコンサート「アイリッシュ・アフタヌーン」でした。アイルランド最高のホイッスル奏者ショーン・ライアン氏を迎えてのコンサート。娘のキアラちゃん(16歳)がアイリッシュ・ダンスの妙技を披露。コンクールで審査員全員から100点満点を得たという前代未聞の記録の持ち主で、お父さんのホイッスルに合わせて軽やかなステップを踏む姿は、なんともすばらしいものでした。アイルランドの妖精の話や、我が家に住む幽霊(=精霊)の話など、ショーンさんの話は次から次へと展開。守安功&雅子さんのフルートやハープ、コンサーティーナ、まつい綾さんのオールドスタイル・アイリッシュ・ダンスも加わって、とても素敵な、アイリッシュな午後を楽しみました。(館長)

2007/09/08

森の水車

「緑の森の 彼方から 陽気な歌が 聞こえます・・・」と始まるのは名曲「森の水車」。「あれは水車の廻る音・・・コトコトコットン コトコトコットン ファミレドシドレミファ・・・」と続きます。水車は楽器ではありませんが、楽器のように音楽を奏でるものとしてとらえたこの歌の作詞者清水みのるは1903(明治36)年浜松市伊佐地町の生まれ。浜松一中(現浜松北高校)を卒業後立教大学に進学し、同時に詩の勉強も始めました。ポリドール蓄音機会社に入社し、田端義夫の「島の舟歌」などで作詞家としての地位を確立。その後「ふるさとの灯台」「星の流れに」「月がとっても青いから」「森の水車」など、中高年の方(私も含めて)には懐かしくてたまらない数々の歌を作ったのです。そんな清水みのるのあしあとを紹介する展覧会が浜松市の文芸館で今日から始まりました。当時の手稿、楽譜、レコードなど貴重な資料が沢山展示されています。緑に囲まれた文芸館で、美しい詩の数々に触れると、心が和みます。11月15日まで開催。ぜひ文芸館にも足を伸ばしてみてください(館長)

2007/08/31

サヌカイトの楽器


 企画展「素材で楽しむ楽器たち」でもうひとつ珍しい素材があります。それはサヌカイト。世界で四国の讃岐地方(香川県)だけに産出する石で、1891年にドイツの地質学者ヴァインシェンクによってサヌカイトと名付けられました。輝石安山岩の一種で、地元ではカンカン石と呼ばれています。とても硬く、割れた薄い板をたたくと、名前の通りカンカンと甲高い澄んだ音がします。まるでガラスか金属をたたいているような音です。自然のままの割れたサヌカイトの板を、木琴のように音階順に並べて作った石琴(せっきん)も作られて、音楽の演奏に使われています。また自然のままの板ではなくて、長方形に切ったものを使う場合もあります。企画展では、自然のままの板と長方形に切ったもの(香川県坂出市の石材屋さんからお借りしています)をどちらも展示しています。実際にたたけるコーナーもあります(写真)。是非見に来てください。(館長)

2007/08/30

備長炭の楽器

 企画展「素材で楽しむ楽器たち」もあと3日で終了です。この夏休みには、全国からたくさんの人が見学に来られ、楽器の素材の珍しさやおもしろさにびっくりされていました。もうすぐ終わってしまうのですが、つい先日とても珍しい楽器が仲間入りしました。兵庫県姫路市の方からお借りしたものです。炭でできた木琴です。正確には、紀州(和歌山県)備長炭でできたシロフォン。炭琴(たんきん)と言っておきましょう。炭の形そのままのものを並べたもの(写真右側)と普通の木琴のように長方形に切ったもの(写真左)の2種類です。とても澄んだいい音がします。木と金属の中間のような音です。企画展体験コーナーに演奏できるミニ炭琴も置いてあります。炭って今ではバーベキューくらいにしか使いませんけど、この備長炭はなかなかいい音のする楽器になるんですよ。(館長)

2007/08/22

学芸員実習

8月3日(金)から13日(月)まで学芸員実習を行ないました。博物館や美術館で働く専門職員を学芸員といいます。歴史や科学など専門知識を持ち、博物館資料の研究をしたり展示計画をしたり、見学者に説明をしたりと、色々な仕事をします。学芸員は国家資格で、大学で必要な勉強をして取るのが普通ですが、国家試験でも取れます。資格を取るには博物館現場での実習が必要で、その実習を当館は毎年行なっています。今年は全国の大学から9人が受講しました。「展示企画・作業」「接客」など「現場作業」を勉強します。写真は写真撮影実習。受講生全員が学芸員の仕事に就けるとは限りませんが、「モノ」を大切にして広い視野で見る「学芸的なものの考え方」を身に付け、文化に貢献する人に育っていくことでしょう。(館長)

2007/08/21

アルパミニコンサート

8月12日(日)のミニコンサートは南米パラグアイのハープ「アルパ」でした。演奏は静岡市在住の演奏家、長島忠之さん。英語のハープをスペイン語ではすべてアルパというのですが、日本語で「アルパ」といった場合は、ハープ全般ではなくて、特に南米のハープのことを指します。南米の中でもとりわけアルパが盛んな国がパラグアイ。国の楽器とされているんです。コンサートでは南米の伝統曲のほかに、電子オルガンのエレクトーンとあわせて喜多郎のシルクロードなども演奏。民俗楽器と電子楽器が、なかなか雰囲気のいい音楽をかもし出し、聴衆は聴きほれていました。(館長)