企画展 琵琶 ~こころとかたちの物語~企画展 琵琶 ~こころとかたちの物語~

企画展 琵琶 ~こころとかたちの物語~

第5章

 理想の音を求めて
― 琵琶の製作工房の現場から ―

琵琶の理想の音を追求してきたのは、演奏家だけではありません。
楽器の製作家もまた、理想とする音を実現しようと、技術と感性を注ぎ込んできました。
最終章では、明治時代から続く老舗の琵琶専門店「石田琵琶店」をとりあげ、
薩摩琵琶製作の様子を紹介します。
楽器の素材選びから音の最終調整までの作業ひとつひとつに、
長年の経験で研ぎ澄まされた繊細な技術と感性が活きています。

【 石田琵琶店 】
1878(明治11)年創業。東京・虎ノ門に店を構える。
4代目・石田不識氏は、現役の琵琶製作家で、平成18年度に文化庁選定保存技術保持者(人間国宝)の認定を受けた。
5代目の克佳氏もまた、埼玉・坂戸の工房を拠点とする琵琶の製作家で、薩摩琵琶正派の演奏家でもある。

【 素材 】
胴・・・桑  表板・・・桑、けやき

桑は、伊豆諸島の御蔵島へ買い付けに行く。
目が詰まっていて、各部品に切り出すのに充分な大きさがある直径40cm以上の木を丸太で仕入れる。
製材後、表板に使う板材は3年、胴に使うための厚みのある板材は10年以上寝かせ、自然乾燥させる。

桑の素材
御蔵島