第155回 レクチャーコンサート「イギリス・ソナタ~ブロードウッド・ピアノ新世紀の響き~」平成24年度レコード部門 文化庁芸術祭“大賞”受賞記念コンサート

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開催概要

日 時:2013年11月12日(火)開演:7:00pm
入場料:一般2,500円、学生1,000円(未就学のお子様は、入場をご遠慮頂いております。)
会 場:アクトシティ浜松 音楽工房ホール
チケット取り扱い:楽器博物館、アクトシティチケットセンター、浜松市文化振興財団オンラインショップ
問い合わせ・チケット予約:楽器博物館(053-451-1128)
チケット発売 9/12(木)

みなさまへ

昨年末、「CD《イギリス・ソナタ》が、文化庁芸術祭レコード部門大賞です!」と、嶋館長から電話をいただいた時の驚きが昨日のことのようです。

1802年、ブロードウッドがこのピアノを製作した当時のイギリスは、産業革命のまっただ中で新しい時代の空気が漲り、ヨーロッパ中の人々の憧れの地でした。

受賞記念コンサートでは、ベートーヴェンがイギリス式のピアノに感化されて作曲したソナタ「ヴァルトシュタイン」と「熱情」、ベートーヴェンに絶大な影響を与え、自身もピアノ製作者だったクレメンティのドラマティックなソナタ作品40-2、ブロードウッドとの出会いで生まれたハイドンのイギリスソナタという大曲が並びます。

ブロードウッド・ピアノの活気溢れるサウンドで、みなさまと受賞の喜びを分かち合えるようなコンサートにしたいと願っています。

小倉貴久子

昨年、このピアノを演奏したCDが、文化庁芸術祭の最高賞である大賞に輝いた。

演奏してくださった小倉さんはもちろん、調律、録音、解説を担当された皆さんの喜びはひとしおであるが、これまでフォルテピアノの研究や演奏に尽力されてきた世界中の先輩諸氏、そして、文化遺産を保存伝承していくすべての博物館にとっても、まことに嬉しい受賞であった。今回ようやく、その生の演奏会が開催できることになった。

ブロードウッドはスコットランド出身のジョン・ブロードウッド(1732~1812)が1782年にロンドンで設立した老舗ピアノメーカーでイギリス王室御用達。科学者の意見も取り入れた高品質のピアノを作り、ハイドンやベートーヴェンも絶賛。彼らはそのピアノに大きな感化を受けて数々の名曲を生み出したのである。

演奏するピアノは1802年頃の作、イギリスの国旗ユニオン・ジャックが今の形に定まったのは1801年。産業革命真只中の、科学技術最先端を行くイギリスの勢いと誇りが、楽器にも音楽にも感じられる。

私たちは18~19世紀イギリスのピアノの素晴らしさに、改めて気付くことだろう。

嶋和彦(楽器博物館館長)

プログラム(予定)

  • J.ハイドン:イギリス・ソナタ ハ長調 Hob.ⅩⅥ:50
  • L.v.ベートーヴェン:クラヴィーアソナタ ハ長調 作品53「ヴァルトシュタイン」
  • M.クレメンティ:クラヴィーアソナタ ロ短調 作品40-2
  • L.v.ベートーヴェン:クラヴィーアソナタ ヘ短調 作品57「熱情」

使用楽器

J.ブロードウッド&サン 1802年頃 ロンドン 68鍵 F1~c4

出演

小倉貴久子(おぐらきくこ)

東京藝術大学を経て同大学大学院ピアノ科修了。アムステルダム音楽院特別栄誉賞付首席卒業。

88年日本モーツァルト音楽コンクール・ピアノ部門1位。93年ブルージュ国際古楽コンクール・アンサンブル部門1位。95年同コンクール・フォルテピアノ部門9年ぶり史上3人目の1位並びに聴衆賞。

帰国後は『音楽の玉手箱』や『ベートーヴェンをめぐる女性たち』『モーツァルトの生きた時代』などのユニークなコンサートシリーズを展開。

ソロ、室内楽、協奏曲などバロックから近現代まで幅広いレパートリを持つ。CDは30点以上をリリース。

浜松市楽器博物館コレクションシリーズは各界から高く評価され、「ブロードウッド・ピアノ 新世紀の響き」は平成24年度文化庁芸術祭大賞受賞。DVDに『プレイエルのピアノ-室内楽で聴くショパンが愛した音の世界』(浜松市楽器博物館)、著書にカラー図解『ピアノの歴史(CD付き)』(河出書房新社)、校訂楽譜に『ジュスティーニ:12のソナタ集 第1、2巻』(カワイ出版)。

東京藝術大学大学院古楽科フォルテピアノ非常勤講師。

CDコレクションシリーズ38「イギリス・ソナタ」の講評

浜松市楽器博物館は数年前より精力的に、自らの所蔵楽器を用いたユニークな録音を出してきたが、このCDは1802年のイギリス式ピアノを用い、当時斬新な響きによりセンセーションを巻き起こしたこの楽器を想定して作曲されたと思われるデュセック、フィールド、クレメンティ、ベートーヴェンらの作品を集めたものである。演奏も秀逸で、ヴァルトシュタイン・ソナタなどは、まさに産業革命の時代の音楽であったことを如実に実感させる録音である。(文化庁)

玉を転がすような軽やかなタッチのウィーン式(跳ね上げ式)と違って、イギリス式は重厚で力強いタッチと響きを特徴とする。筆者の見るところ、このような楽器に小倉のピアニズムはよく合っている。いつものように非凡な集中力と曲への同化力を発揮し、楽器の音色を良く引き出すと同時にいずれもパッションに溢れたダイナミックな演奏を聴かせている。たとえば、ハイドンの第1楽章の噛み付きの良いタッチはフォルテピアノならでは。俊敏な指廻りが作曲家の機知をよく表現しているし、《ワルトシュタイン》ではヴィルトゥオーゾ振りを発揮。(レコード芸術誌《特選盤》)

小倉貴久子はいつもながら楽器を最深度まで血肉化した熱いパフォーマンスを繰り広げる。ボトムから突き上げる力強い楽器の鳴りを駆使し、華麗なデュセック、諧謔のハイドン、快活なフィールド、疾風怒濤のクレメンティ(名曲!)と自在。そして星雲状の主和音の音塊から立ち上がる「ヴァルトシュタイン」には興奮を禁じ得ない。鍵盤を叩けば産業革命の音がする!(CDジャーナル誌)

更新:2014/7/24

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