楽器博 かわら版

2010年4月22日木曜日

お知らせ

ご愛読いただきましたブログ「楽器博かわら版」ですが、利用しているブログのサービスがFTP転送をサポートしなくなるため、このブログは更新を停止し、楽器博物館ホームページ上で「楽器博物館ニュース」を新たに公開することとなりました。
今後とも、楽器博物館をよろしくお願いします。

2010年3月22日月曜日

第17号 レクチャーコンサート ハイドン

 12月13日(日)14時より、レクチャーコンサート「フォルテピアノで聴く魅惑のハイドン-ウィーンからロンドンへ-」を行いました。ハイドン(1732-1809)は多くの交響曲・室内楽曲を作曲したことから「交響曲の父」などと呼ばれています。2009年は彼の没後200年を記念し、各地で演奏会が行われました。当館では、所蔵するウィーン製のピアノ(ワルター&サン,1808-10年)を使い、ハイドンが作曲したピアノ・ソナタについてのお話と演奏をお楽しみいただきました。お迎えした藤江効子先生と本田まきさんは、3年前のクレメンティのレクチャーコンサートでお馴染みとなったお二人です。
 ハイドンのピアノ・ソナタというと、ピアノを習っていた方なら一曲は演奏したことがあるかもしれません。今回は、作曲年代順に3曲聴き、当時どんな鍵盤楽器に影響を受けてこれらの曲が作られたのかにせまりました。彼が音楽の道に入った頃、鍵盤楽器の主流はチェンバロで、ピアノは異なるアクションを持つウィーン製とイギリス製のものが少し後に登場します。このような時代であったからこそ、ハイドンはその時に出会った楽器にふさわしい様式で作曲したのかもしれません。現代のピアノとは一味ちがう響きで、3曲のソナタを聴き比べることができました。(T.Ka)

2010年3月21日日曜日

第16号 講座 聖と俗

 12月5日(土)14時より講座「楽器の中の聖と俗」を開催しました。この講座では、当館名誉館長の西岡氏が撮影した映像を見ながら、さまざまな視点で楽器や音楽の謎にせまります。第46回は、性器崇拝に結びつく日本のお祭りを取り上げました。
 性器崇拝は、男女の性器をかたどった象徴を敬うことで、子孫繁栄、五穀豊穣などを願います。神奈川県川崎市の「かなまら祭り」は金山神社で毎年4月の第一日曜日に行われるお祭りです。子孫繁栄・子授け・安産・縁結びなどに加え、最近はエイズ除けの祭りとしても有名になりました。お祭りの見所は、黒光りした大小の男根、さらにはピンクの巨大な男根が神輿(みこし)に乗って町を練り歩く場面です。その様子は圧巻ですが、どこかおもしろおかしく感じることもできました。このようなお祭りは日本独特のもので、ヨーロッパではどこへ行ってもないそうです。そのため、海外からの観光客も多いのだとか。
 他にも陽気なお祭りが3つ紹介され、講師が鋭いコメントをするたびに笑いが起こる楽しい時間となりました。(T.Ka)

ラベル:

2010年2月16日火曜日

第15号 親指ピアノ ワークショップ

 11月28日(土)13時より、「親指ピアノ」のワークショップを行いました。ワークショップでは、年に数回、専門家の指導で世界の様々な楽器を演奏体験します。演奏技術の向上だけでなく、文化的背景のお話を聞くこともできるので毎年好評です。
 「親指ピアノ」はアフリカで生まれた楽器で、親指でキー(細い鉄片)をはじいて演奏します。地域により材料は様々ですが、木でできた箱に金属のキーとジリジリとした音を出すためのサワリがついています。アフリカの人たちは、身近な材料で手作りし、自分の楽しみとして演奏します。そんな素朴で親しみやすい楽器でアフリカの特徴的なリズム「ポリリズム」を体験しました。
 「ポリリズム」とは異なるリズムを組み合わせたリズムです。今回は右親指で3拍子を弾きながら左親指で2拍子を弾き、それを繰り返して演奏しました。複雑なリズムに慣れるため、両手で体のいろいろな部分を叩いたり、身近な言葉を使って拍を刻むなど、工夫しながら学びました。
 受講生は、初めて参加された方から自前の楽器で演奏する方までいらっしゃり、自分で弾いてみる楽しさを実感しながらアフリカのリズムや音楽を体験しました。(T.Ka)

ラベル:

2010年1月22日金曜日

第14号 レクチャーコンサート バリトン

 11月16日、楽器博物館展示室にてレクチャーコンサート「バリトン-ハイドンが愛した幻の弦楽器-」を開催しました。
 古典派を代表するオーストリアの作曲家ハイドン(1732-1809)は、「バリトン」という楽器のために多数の曲を残しています。バリトンとは、17-18世紀に南ドイツ・オーストリアで、王侯貴族の間で愛好された弦楽器です。
 演奏は、ウィーンを拠点に活動をしているエステルハージ・アンサンブル。今回が初来日で、ミヒャエル・ブリュッシング(バリトン)、マリア・ブリュッシング(バロックチェロ)、アンドラーシュ・ボリキ(ヴィオラ)の3人で編成されています。
 バリトンは、表に7本のガット弦(羊の腸を乾燥させ撚ったもの)が張ってあり、弓で擦って奏します。さらに、その弦と胴の間にも共鳴弦が張ってあります。金属製のもので、共鳴弦としての役割だけでなく、ネックの裏側から左手の親指で爪弾いて演奏します。共鳴弦の数は9-28本と楽器により異なるようですが、ミヒャエルさんのバリトンには10本の共鳴弦が張られていました。
 バリトンをこよなく愛したニコラウス・エステルハージ侯の宮廷楽長として仕えたハイドンは、彼の為に150以上のバリトン曲を作曲しています。主人がバリトンを、ハイドンは主にヴィオラを担当していたそうで、それらの曲は、エステルハージ侯がお気に入りの楽団員と楽しむ、私的な楽曲だったようです。もともと一般的な楽器ではなかった上、奏法が難しいことから、今では幻の楽器となっており世界でも50人程しか演奏者がいないとのことです。
 プログラムの途中には、特別にソロでバリトンを演奏して下さり、左の指で表の弦を押さえながら、共鳴弦を弾くというテクニックに感嘆しました。バリトンの魅力を伺うと「美しい音色」とミヒャエルさん。ガンバやチェロとも違う”ワーン”という独特の響きを持つバリトンと、18-19世紀に製作されたチェロとヴィオラの柔らかで暖かなアンサンブルに、会場も陶酔。ハイドンが愛した、なかなか味わうことのできない音色にたっぷり浸ったコンサートでした。
 なお、楽器博物館には18世紀後半に製作されたバリトンが展示してありますので、ご来館の際にはぜひご覧ください。(H.I)

ラベル:

2010年1月15日金曜日

第13号 レクチャーコンサート・トンコリ

 10月25日(日)午後2時より、レクチャーコンサート「樺太アイヌの五弦琴-魂のトンコリ-」を行いました。トンコリは北海道の北にある樺太島(サハリン)のアイヌ民族に伝わる伝統楽器です。残念ながら樺太アイヌの当時の伝承者は既に一人も残っておらず、当時の人から直接教えを受けた富田友子さんと、その教えを受けた木原仁美さんが、受け継がれた伝統の技を披露してくれました。
 トンコリは、5本の弦が張られた撥弦楽器です。「愛するわが子を亡くした父親が、悲しむ母親を慰めるために、山で見つけた洞木を削って、子供の形をした器楽を作った。それがトンコリだ」という伝説もあり、楽器の形は人間の姿に見立てられて、ヘソや耳、肩など身体の名前が付けられています。また、楽器の胴の中には、魂とされるガラス玉が入っています。
 富田友子さんは、昭和34年に北海道札幌に移り住んだのを機にトンコリの研究を始め、そこで樺太アイヌのトンコリの名手、西平ウメ氏や木村チカマ氏と親交を結び、トンコリやアイヌ文化について学んだのだそうです。演奏会では、その方々から学んだという、イケレソッテ (ikere sotte) 、トー キト ラン ラン (too kito ran ran)など様々な曲がトンコリの独奏または二重奏で演奏されました。演奏の後に、トンコリの歴史や構造、演奏についてのお話がありました。
演奏についての話のなかで、「私たちの感覚で弾くとどうしてもきれいになりすぎてしまうが、アイヌの人たちが弾いていたのはもっと素朴でしかも力強い演奏だったんです」との話がありました。その後でアイヌの人達による演奏を録音したテープを聴かせてくださいましたが、その際に「もう聴かれないんです、みなさんお亡くなりになりまして…」と仰っていたのが印象的でした。
 あまり音量の大きな楽器ではありませんが、歌とよく合う素朴で心地よい響きのトンコリ。樺太アイヌの魂に触れた、意義深い演奏会となりました。(T.Ki)

ラベル:

2009年12月17日木曜日

第12号 イヴニングサロン・今宵はシューベルト

 10月24日のイヴニング・サロンでは、アムステルダム在住のフォルテピアニスト、七條恵子さんによるシューベルトの作品をお楽しみいただきました。使用した楽器は、当館所蔵のA.シュトライヒャーが1815年頃に製作したピアノです。シュトライヒャーは、当時ウィーンで大変有名で人気の高かったピアノ製作者です。現代ピアノとはアクションが異なり鍵盤がとても軽く、優しく語りかけるような音色を持っています。
 七條さんは、演奏して感じられたことを「作曲当時の楽器で演奏できて幸せです。このピアノは音の減衰も反応も早くて、とても繊細なのにシャープでダイレクトな音もでるんです。シューベルトの作品にぴったりな楽器ですね。彼の音楽は精神的に深いところに連れていってくれるのが魅力なんです」と語りました。お客様も七條さんに共感するかのようにうなずきながら聞いていました。
 曲目は《4つの即興曲》作品90より第1番と第2番、《4つの即興曲》作品142より第3番、《2つのスケルツォ》作品593、そして40分の大曲である《ピアノソナタ第20番イ長調》作品162です。19世紀のピアノの優しくあたたかい響きに導かれ、シューベルトの精神世界に深く引き込まれたひとときとなりました。

ラベル:

2009年11月10日火曜日

第11号 レクチャーコンサート 琴

 10月9日(金)午後6時45分より、レクチャーコンサート「世界遺産 琴の世界-日本と中国の文人音楽-」を行いました。今回お迎えした坂田進一さんは、日本を代表する中国古典音楽研究家、琴演奏家です。演奏を交えながら、中国の歴史や琴と文人との関わりについてお話してくださいました。
 今回取り上げる楽器の名前は「琴」という漢字をあてて「きん」と読みます。普段私たちが「お琴(おコト)」と呼んでいる「筝(そう)」とは別の楽器です。「琴」は「筝」とちがい、富士山のような形の琴柱(ことじ)がありません。琴柱を胴と弦の間に取り付ける代わりに、左手で弦を押さえて音の高さを変えながら7本の弦をはじきます。中国の伝説の時代から現代まで使われている「琴」。3000年という長い歴史の中で、中国や日本の文人に好まれ、彼らのステイタスシンボルとなっていたそうです。
 そんな琴が奏でる音楽は、控えめな音ながら上品な音色でした。坂田さんが弦を押さえる左手をスライドさせたりゆらしたりすると、一つの音の中にいろいろな響きや余韻が広がります。また、左手で弦を軽くぽんと押さえて右手で弾くと、なんとも軽やかで静かな音がうまれます。静寂の中、坂田さんが琴と対話する様子は、琴の演奏が人に聴かせるためではなく、自分の精神修行のためであったことを感じさせるものでした。
 中国の思想家、孔子も嗜んでいた琴。世界無形文化遺産となった琴の音楽を通して、中国の悠久の歴史を感じることができました。(T.Ka)

ラベル:

2009年10月6日火曜日

第10号 レクチャーコンサート リードオルガン、御座楽、リコーダー

 8月から9月にかけて、3本のレクチャーコンサートを行いました。8月29日(土)午後2時からは、第88回レクチャーコンサート「日本の歌と風琴と-リードオルガンの優しき調べ-」。昔は小学校の各教室にあった、懐かしの足踏みオルガンのコンサートです。出演は、宮崎滋さん(リードオルガン)、竹内直美さん(ソプラノ)、赤井励(お話)さんの3名です。赤井さんの解説に、宮崎さんがリードオルガンで絶妙の合いの手を入れ、楽しくコンサートは進んでいきます。リードオルガンの歴史、広まった時代背景など多岐にわたる解説の合間には、有名な「花」と「納涼」「月」「雪」からなる滝廉太郎作曲の「四季」をはじめとして、「鉄道唱歌」「われは海の子」など懐かしの曲が次々と演奏されました。最後には会場のお客さんもご一緒に、との掛け声で「里の秋」「故郷」を合唱しました。年配のお客さんも多かったのですが、リードオルガンに合わせて朗々とした歌声が会場に響きました。
 9月12日(土)午後2時からは第89回レクチャーコンサート「御座楽-甦った幻の琉球王府宮廷楽-」です。出演は、御座楽復元演奏研究会のみなさん(演奏)と比嘉悦子さん(お話)です。今回のテーマ「御座楽」は「うざがく」と読み、琉球に伝わった中国系の宮廷音楽で、1872年に廃藩置県が行われて以降演奏の場を失い、長らく幻の宮廷楽となっていましたが、沖縄県で平成4年に首里城が復元され、その一環で翌5年より御座楽の復元に着手、10年の歳月をかけて復元されたものです。
 御座楽の演奏に先立って琉球舞踊の「かぎやで風」が演奏されました。沖縄の伝統的な演奏会では必ず最初にこの曲を演奏しないと始まらない、という位置づけの曲なのだそうです。その後、比嘉さんによる琉球や御座楽についてのお話を挟みながら御座楽が演奏されました。18種類もの楽器が使われましたが、その中には月琴や揚琴など中国系の楽器が多く見られ、大勢での合奏や、3-4人での小規模な演奏、中国語の歌が入った曲など、華やかで高雅な御座楽の響きを楽しみました。
 9月15日(火)に行ったのは第90回レクチャーコンサート「天使の調べ-無伴奏リコーダーの饗宴-」。午後6時45分から、閉館後の展示室で行いました。世界的に有名なリコーダー奏者、ヴァルター・ファンハウヴェさんと、デュオとして定評のある田中せい子さん、ダニエレ・ブラジェッティさんの3名を迎え、ソロやアンサンブルの演奏を楽しみました。大小様々のリコーダーを使って、他の楽器が入らない純粋なリコーダーの響きを楽しみました。楽器博物館の展示室で行われた規模の小さな演奏会でしたが、会場はリコーダーの優しい響きに包まれました。(T.Ki)

ラベル:

2009年8月26日水曜日

第9号 企画展開催中

 8月1日より、2つの企画展「絵画の中の楽器たち」「リードオルガンという文化-日本が洋楽と出逢った時-」を開催しています。
 「絵画の中の楽器たち」では、実物でも写真でもない、絵画に描かれたさまざまな楽器を紹介します。上砂理佳さん、仙波存乃恵さん、ハラダチエさんのそれぞれに魅力的な多くの絵画に加え、このブログでも紹介している講座「ヨーロッパ民族音楽紀行」の講師、江波戸昭先生の切手コレクションの一部を展示しています。この企画展は11月29日まで開催しています。


 もう一つの企画展は「リードオルガンという文化-日本が洋楽と出逢った時-」。今ではあまり目にする機会もなくなってしまいましたが、リードオルガンは明治・大正・昭和と長い間、学校教育やキリスト教会で広く活用されてきた楽器です。そのリードオルガンが日本に伝わった後、どのように広まり、どのように使われてきたかを振り返ります。リードオルガンそのものはもちろん、楽譜や教則本など様々な資料を展示しています。こちらは9月6日までの開催、期間が短いのでお早めに御来館ください。
 なお、8月29日の午後2時より、企画展で展示しているリードオルガン4台を使ったレクチャーコンサート「日本の歌と風琴と-リードオルガンの優しき調べ」を開催します。懐かしのリードオルガンの響きをお楽しみください。詳細・申込はお電話で楽器博物館(053-451-1128)にお問い合わせください。 (T.Ki)

ラベル:

2009年8月18日火曜日

第8号 ミニコンサート

 8月2日の日曜日、午後2時と午後3時半にイランの楽器サントゥールのミニコンサートを行いました。演奏は谷正人さんです。サントゥールは台形の木箱に4本ひと組で72本の金属の弦が張られ、その弦を2本のバチで叩いて演奏します。
 イランの音楽は、西洋の音楽のように「誰が書いた○○という曲」というように曲名がはっきりしているものはほとんどないそうです。多くは伝統的に演奏されているメロディーで、実際に演奏するときは400以上あるメロディーの中からいくつかのメロディーを組み合わせて即興で演奏します。今回はミニコンサートということで3?4分の曲を4曲演奏していただきましたが、現地では1曲30分から1時間、延々と演奏することが普通です。
 サントゥールだけの演奏も大変魅力的でしたが、谷さんは、「本当は太鼓と一緒に演奏したいんだけどなぁ」とおっしゃっていました。あまりなじみのないイランの音楽でしたが、多くのお客さんがサントゥールの不思議な響きに魅了されました。
夏休みの日曜日ということでお客さんが大変多く、大盛況のコンサートでした。

ラベル:

2009年8月4日火曜日

第7号 ヨーロッパ民族音楽紀行

5/23(土)、ヨーロッパ民族音楽紀行の第3回「ヴァイキングの船人たち」を行いました。ヴァイキングとしても知られる北欧系のノルマン人がヨーロッパに残した足跡を、ヨーロッパ各地に残る音楽や祭りから見ていきました。北欧で盛んなのは夏至の祭りで、スウェーデンのダーラナ地方では大きな柱を立て、その周囲で輪になって踊る、という祭りです。お祭り騒ぎの中で、少しでも音量を大きくするための工夫が楽器にもなされた、というお話もありました。これ以外にも様々な祭りや音楽の様子を映像や音源を使って紹介しました。

6/13(土)の第4回は「アルプに育まれた文化」。「アルプス」の語源にもなっている、放牧のための高地を指す「アルプ」は、もともと人が入らない土地でしたが、谷間の平地に暮らしていた人々が、放牧のため16世紀あたりから使われるようになりました。夏には牛をつれてアルプに上がっていき、夏が終われば牛をつれて谷間に帰っていく、というスタイルの暮らしです。牛をつれて山を上り下りするときが一大イベントになっていて、その模様が映像で映し出されると驚きの声が上がります。ヨーデルやアルプホルンが生み出された風土を見ていきました。

6/28(日)の第5回は「謎の人ケルトの水脈」。ヨーロッパ人の祖先とも言われるケルト人。彼らは国を持たない民族のなかで1番大きく、紀元前にはドイツ、フランスを中心とし、ギリシャやトルコ、イベリア半島などヨーロッパの広い地域に住んでいたようです。しかしゲルマン人により西へと追われ、今では、アイルランド、スコットランドそしてブルターニュ地方に暮らしています。また、19世紀に起こったアイルランド大飢饉により人口の3分の1程がアメリカへ渡った為、アメリカにもケルトの文化が残っています。アイルランドやスコットランド民謡というと、ダニー・ボーイや蛍の光など日本でも馴染み深い曲が多くありますが、日本流に拍子やリズムを単純にしています。本場のケルト人の歌声や音楽文化を貴重な音源や映像を用いて紹介しました。

7/11(土)の第6回は「アンダルシアに咲いた花」。スペインのアンダルシア地方を中心に、映像や音源で歴史をたどっていきます。スペインは様々な民族が出入りした地域で、現在のそれぞれの状況からは考えにくいですが、古くはキリスト教、イスラム教、ユダヤ教といった様々な文化や人種が共存し混じり合って豊かな文化が醸成されました。後に巻き起こったレコンキスタの運動でユダヤ・イスラムは排斥されますが、排斥の対象にならなかったジプシーが、それまでに作られていた様々な音楽をジプシー風に変化させたのが、やがてフラメンコへと変化していくのだ、というお話でした。スペインに残るキリスト教、イスラム教、ユダヤ教の古謡が音源で流れると、不思議と雰囲気に共通するところがあり、受講者からも感心の声が漏れました。(T.Ki、H.I)

ラベル:

2009年7月24日金曜日

第6号 小鼓レクチャーコンサート

 7月4日(土)午後2時より、レクチャーコンサート「小鼓-その美学と音の巧み-」を行いました。
 小鼓は、ひな人形の五人囃子のひとりが持つ、砂時計型の両面太鼓。普段は能や歌舞伎、民俗芸能などで演目を引き立てる伝統的な楽器です。今回はこの楽器にスポットをあて、小鼓の構造から譜の読み方まで、ひとつずつ魅力にせまっていきました。お迎えしたのは日本を代表する名手、幸信吾さん。掛川市出身の長谷川晴彦さんによる謡も交えながら、小鼓と謡との関係をわかりやすくお話してくださいました。
 作られてから長い年月をかけ、良い音がでてくる小鼓。何でできているかというと、叩く面は馬の革。馬のお腹の一番やわらかいところを使うそうです。胴には桜の木が使われています。幸さんの楽器の革は明治後期から、胴は江戸時代から使われているものだとか。日本の伝統と歴史の重みが伝わってきました。
 興味深かったことは、幸さんが演奏前に必ずしていた準備です。手で打つ方とは反対の革に息を吐きかけたり、なめた指をその革の一部分にあててから演奏していました。館長が聞いてみると、革には小さくちぎった和紙が貼られていて、それをしめらせていたとのこと。小鼓は湿気にとても敏感な楽器。だから、こうすることでしめり具合を調節しているそうです。
 小鼓は、打つごとに左手で調べ(ひも)を操作し、音に変化をつけて演奏します。馬の革と桜木の胴を固定する麻ひもを締めたり緩めたりすると、音の高さや音色が変わるのです。これを使い、「ポ」「プ」「チ」「タ」という4種類の音を叩き分けます。幸さんの丁寧な説明を聞いた後、改めて4種類の音を聴くと、客席から納得した声があがりました。 
 会場には、当日券で入場されたお客さまも多数いらっしゃり、みなさん、普段なかなか聞くことのできない小鼓の世界を堪能してくださったご様子でした。(T.Ka)

ラベル:

2009年6月25日木曜日

第5号 学芸高校生によるミニコンサート

 6月20日日曜日、午後2時と午後3時半に地元浜松で音楽を専門に学ばれている浜松学芸高校芸術科音楽課程の生徒さんをお招きしてミニコンサートを開催しました。ヴァイオリン、クラリネット、フルート、トロンボーン、声楽など各生徒さんが専攻されているジャンルの楽曲を博物館に来館されたお客さんに披露されました。当日は、梅雨の大変蒸し暑い日でしたが、延べ19人の生徒さんによる爽やかな音色が響き渡りました。

ラベル:

2009年6月23日火曜日

第4号 レクチャーコンサート イリアン・パイプ

 6月8日の月曜日、18:45より音楽工房ホールにてレクチャーコンサート「郷愁のアイルランド-イリアン・パイプの世界」を行いました。今回取り上げたイリアン・パイプはバグパイプの一種で、風袋に取り込んだ空気を管に送り込んで音を出す仕組みの楽器です。バグパイプというとスコットランドのハイランド・バグパイプが有名ですね。
 このイリアン・パイプは、最も複雑に進化したバグパイプと言われています。メロディーを奏でるチャンター管が1本、持続低音を出すドローン管が3本、そしてさらに、和音を出す3本のレギュレーター管がついています。この計7本のパイプを使って演奏するのは非常に難しいためマスターするのに何年もかかるそうです。また、多くのバグパイプと違って、口から空気を送り込まずにふいごを使って風袋に空気を送ります。
 出演は、イリアン・パイプの名手、マイキー・スミスさん、アイルランド音楽の研究家で毎年数ヶ月は現地に滞在している守安功さん(アイリッシュ・フルート)と守安雅子さん(コンサーティナ他)です。演奏する楽器の組み合わせもいくつかあり、イリアン・パイプとアイリッシュ・フルートとコンサーティナだったり、前者2つとアイリッシュ・ハープだったり、はたまた、スプーンズというスプーン2つを使ってカスタネットのような音をだす打楽器を交えた演奏だったりと、耳だけでなく目でも楽しめるステージでした。
 マイキーさんのアイルランドジョークを交えたお話はとても興味深く、その中の楽器紹介では、7つの音を同時に出せる複雑なつくりをしたイリアン・パイプを分かりやすく説明してくださいました。「滅多に見られないからお近くでどうぞ」という声かけもあり、席をたって近くで見学するお客さんもいました。また、アイルランドがイギリスに抑圧されていた時代には、言葉や音楽など、様々なものが禁止されており、イリアン・パイプも禁止されたもののひとつだったそうです。さらに1840年代におこった大飢饉によりアイルランドの人口は半減、イリアン・パイプの演奏者も激減しました。マイキーさんが楽器を始めたころもそれほど多くはなかったようですが、現在では6000人くらいの演奏者がいるそうです。
 質疑応答の時間もあり、「どれくらいでひけるようになるのか」という質問にマイキーさんは「楽器について学ぶのに7年、曲について学ぶのに7年、7年の演奏経験が必要だと言われています」と答え、客席からは驚きの声が上がりました。また、「派手な演出もないのにこんな地味な楽器をこんなに熱心に聴いてくださるお客さんの前で演奏できて本当に幸せです」とも話していました。
 途中休憩を取らずの演奏会でしたが、あっという間の2時間でした。 (K.M)

ラベル:

2009年5月22日金曜日

第3号 レクチャーコンサート&ヨーロッパ民族音楽紀行

 5月9日の土曜日、午後一時半より音楽工房ホールにてレクチャーコンサート「天と地と空と-雅楽三管・笙、篳篥、龍笛の宇宙」を行いました。今回取り上げた笙、篳篥、龍笛は、日本の雅楽で使われる伝統的な管楽器です。出演は、中村華子さん(笙)、中村仁美さん(篳篥)、八木千暁さん(龍笛)の三名です。演奏会は、それぞれの楽器の解説を織り交ぜながら進んでいきます。笙の規則性のない管の並び方や、篳篥の「使うと国が滅ぶ」と伝えられている謎の穴の話が紹介されると、会場からは感心の声や笑い声も聞かれました。笙、篳篥、龍笛という、身近なようであまり馴染みのない雅楽の楽器の音色をじっくり楽しんだ演奏会でした。 

 翌10日には、講座「ヨーロッパ民族音楽紀行」の第二回目、「草原をかけめぐったコサックとは」を行いました。コサックは、カザフあるいはカジャークとも言い、自由民、放浪民を表す言葉です。今回は、スラブ系の民族がロシアやポーランドの圧政を嫌って南下し、カザフスタン(コサックの土地、の意)あたりに定住した民族を中心に話が進んでいきました。カルパチアからカフカスにかけてのコサックの地が反権力的な性格を持っていることや、コサックの伝統的な歌い方が周辺諸地域にも共通するといったことなど、映像や音源を使いつつ、様々な角度からヨーロッパ文化を掘り下げていきました。次回は5月23日(土)、午後2時から。申込みはお電話で楽器博物館(053-451-1128)へ。

 そして12日(火)に行ったレクチャーコンサートは、メンデルスゾーンの生誕200年を記念した「麗しきメンデルスゾーン-歌の翼に-」。開演に先立って、メンデルスゾーン研究で国際的に名高い星野宏美さんがプレトークを行いました。恵まれた環境にありながら大きなプレッシャーと葛藤を背負っていたという話に、彼の新しい一面を発見し、熱心にメモをとるお客さんの姿も。
 出演は、ヴァイオリンの桐山建志さん、チェロの花崎薫さん、歌の畑儀文さん、ピアノの小倉貴久子さん。現在ヴァイオリンの名曲として知られているバッハの「シャコンヌ」も、当時は「訳の分からないとっつきにくい練習曲(!)」という位置づけだったそうですが、メンデルスゾーンがこれにピアノ伴奏を加えた、彼の思い描いた厳かで優しいバッハを桐山さんのヴァイオリンと小倉さんのピアノで表現していました。この他にも、花崎さんのチェロソナタ、畑さんは「歌の翼に」等声楽曲、小倉さんのピアノ独奏、そして最後にはピアノトリオ、と飽きることのないメンデルスゾーンの美しい調べが、会場に響きわたりました。

ラベル:

2009年5月8日金曜日

第2号 ヨーロッパ民族音楽紀行&ミニコンサート

 講座「ヨーロッパ民族音楽紀行」がスタートしました。半年間に全8回で行うこの講座では、現在のヨーロッパ音楽の基礎にもなっている様々な地域の民族の音を探っていきます。講師は民族音楽研究のほか、楽器が描かれた切手のコレクターとしても知られている江波戸昭先生です。今回行われた第1回では「民族の十字路」とも呼ばれる黒海西岸のバルカン半島に縁の深い諸民族の音楽文化を映像や音源で実際に見聞きしながら、文化の多様性と共通性を肌で感じていきました。第2回は5月10日(日)、午後2時から行います。申込みはお電話で楽器博物館(053-451-1128)へどうぞ。

 浜松祭りで賑わった5月3-5日は、ゴールデンウィーク・ミニコンサートを行いました。5月3日はキルギスの弦楽器「コムズ」。出演はウメトバエワ・カリマンさんと、石阪由美子さん。ギターのように構えて演奏する竿の長い撥弦楽器ですが、弦をはじく手が舞いを舞うかのように回転したり、演奏しながら楽器を肩にのせたり、楽器のネックを地面につけて演奏したりと、見た目にも楽しい演奏に会場も盛り上がりました。

 5月4日は電子楽器「テルミンとマトリョミン」。出演は竹内正実さんと、アンサンブル・マーブルのみなさん。テルミンはロシア生まれで世界最古の電子楽器。独特の音色と演奏方法がユニークな楽器です。マトリョミンは竹内さん考案で、ロシアの民芸品マトリョーシカ人形の中にテルミンを組み込んだ、楽しい楽器です。アンサンブル・マーブルのみなさんによる合奏で、マトリョミンの不思議な音色が響きわたりました。

 最終日の5月5日は、ノルウェーの民俗ヴァイオリン「ハルダンゲル・フィドル」、演奏は樫原聡子(かたぎはらさとこ)さんです。遠目には普通のヴァイオリンと変わりませんが、弓でこする4本の弦のほかに、音の響かせるための共鳴弦が5本ついていて、演奏中はいつも「うぉーん」という響きが続いているのが特徴です。この日の展示室は、雨のため浜松祭りの凧揚げが中止になったこともあって大賑わいでしたが、ハルダンゲル・フィドル独特の豊かな響きにお客さんから嘆息が漏れていました。

 また、先月4月11日には、アフリカ・ジンバブエ共和国の親指ピアノ「ムビラ」のミニコンサートを行いました。出演は、ジンバブエ最高のムビラ奏者ルケン・パシパミレさん、日本人プレーヤーのハヤシエリカさんら3名です。親指ピアノは、板に取り付けられた細くて薄い金属板を親指ではじいて演奏する楽器で、地域により様々な形がありますが、今回のミニコンサートではヒョウタンを共鳴胴として使うタイプのものが演奏されました。そのため、演奏している間はヒョウタンに隠されて楽器は見えなくなってしまうのですが、ジンバブエ最高の奏者から繰り出される多彩な音色に、お客さんもびっくりしていました。 (T.Ki)

ラベル:

2009年5月2日土曜日

第1号 レクチャーコンサート ストローの笛

 4月18日土曜日、レクチャーコンサート「知性と感性 ストローの笛」を行いました。ストロー笛は、身近なストローで作った、世界に二つとない笛です。この楽器を考案し演奏されている神谷徹さんをお招きしました。今回は親子連れや、ベビーカーをひくお母さん、小さなお子さんが多く、レクチャーコンサートを始めて以来のにぎやかな雰囲気の中で行われました。
 コンサートは、ストロー笛の30年近い歴史の中で生まれた30-40個ある楽器の一部を、神谷さんの優しいお人柄と笑いを誘う絶妙なお話で、ストローで笛を作り始めたきっかけから、作り方、音の出し方のコツをおもしろおかしく紹介していきました。「ストローに命をかけて、命がけで吹くんです!」と言いながら必死の表情でストローを吹いてみせた姿に会場は大爆笑。子供たちも、様々な表情でストロー笛を吹く神谷さんの姿に大喜びでした。
 ストロー笛は、様々な太さ、長さ、色の組み合わせでいくらでも形を変えることができます。しかし、指で押さえられる穴の位置や数には制約があるので、演奏する曲を決めて楽器をつくらなければなりません。そこで、神谷さんは、この特徴を生かして、曲に合った仕掛けをつけることを思いつき、「チューリップ」の曲だったらチューリップの形をしたストロー笛を作ってしまったのです。星、ゴジラ、ぞう、カモメ、虫などなど不思議な形をした楽器は、神谷さんのユニークな感性があってこそ生まれたものです。
 また、これらの楽器には、驚くべき仕掛けがたくさん隠されていました。「しゃぼん玉」を演奏する楽器では、演奏すると実際にしゃぼん玉が飛ぶようにできているのです。他にも、頭上を飛び回る蜂、上っていくこいのぼり、火を吐くゴジラなど、演奏とともに現れる動く思いもよらない仕掛けの数々に、大人はびっくり、子供は大喜び。すばらしい知性の結晶です。
 発想の転換で、ただのストローが世界でひとつだけの魅力あふれる楽器になることを、実演とお話で楽しく学べたコンサートでした。(T.Ka)

ラベル:

2009年4月30日木曜日

ブログ終了・楽器博かわら版がはじまります

長い間ご愛読いただきましたブログは、5月から「楽器博かわら版」として再出発します。楽器博の活動報告や予定など、様々な情報を発信していきますので、引き続き「楽器博かわら版」をよろしくお願いします。
楽器博かわら版はこちらから。

(後日注:今ご覧頂いているこのブログは「楽器博かわら版」で、この日付以前の記事は旧ブログから転載したものです)

ラベル:

2009年3月21日土曜日

リードオルガンとオーケストラの協演

3月19日に静岡市のグランシップ・中ホール海で、NHKのテレビ番組「あなたの街で夢コンサート」の公開収録がありました。オーケストラが日本各地を回って、その土地の音楽家やゲストともに演奏したりお話したりするという音楽番組です。今回は静岡県がテーマで、日本一というお話の中で、富士山、駿河湾の深さ、桜海老の生産、お茶の生産などとともに、楽器の生産が取り上げられました。
 楽器といえば、そう、県西部、この浜松市が中心です。日本の西洋楽器のほぼ100%を生産しているわけです。そのルーツといえば、明治21年に山葉寅楠(やまはとらくす)(現代の楽器メーカーヤマハの創業者)が大量生産を開始した足踏み式のリードオルガン。明治の洋楽教育・学校教育の中でたくさん使われました。昭和30年代までこの足踏み式は使われていましたから、50代以上の人にとっては毎日学校の教室で接した懐かしの楽器でもあります。現在はもう生産されていませんから、若い人にとっては新鮮な楽器。
 この番組では、楽器博物館所蔵の大正時代と昭和12年頃の浜松製リードオルガン3台と、東京の個人所有の横浜製とアメリカ製の2台、計5台のリードオルガンが、東京フィルハーモニー交響楽団とともにサティの名曲“ジュ・トゥ・ヴ”を演奏。なんともいえない美しい響きをかもし出しました。オーケストラとリードオルガン5台の演奏なんて、おそらく世界初の試みでしょうね。
 この番組の放送日は5月1日(金)午後9時からBS2、5月10日(日)午後4時からBSハイビジョンです。是非ご覧になってください。(館長)

ラベル:

2009年2月24日火曜日

大正琴展 好評のうちに閉幕

11月から行っていた企画展「大正琴の世界」が終了しました。大正琴の誕生から現在までの変遷を、楽器の構造や時代背景、発明者である森田の人物像など、様々な観点をからめて紹介しました。展示に使用した楽器は全部で70点。ごく初期の大正琴から、最新式の大正琴まで、見た目にも楽しい多種多様な大正琴が並びました。会期中には15128人のお客さんが訪れ、体験コーナーに用意した3台の大正琴はいつも大人気。楽器に全然触れたことがないという人から「これならとっつきやすく、自分にもできそうだ」という声も聞かれました。大正琴の愛好者人口は数十万といわれていますが、今なお愛され続ける大正琴、ブームが訪れているのかもしれません。

ラベル:

2008年12月21日日曜日

ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ

 年の瀬迫る12月14日の日曜日、レクチャーコンサート「バッハ:無伴奏チェロ組曲‐ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラによる‐」を開催しました。今回使用した楽器は、ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ。名前にあるとおりチェロの一種ですが、「スパッラ」は「肩」の意味で、ヴァイオリンのように楽器を寝かして演奏するチェロです。ただし、ヴァイオリンやヴィオラよりも大きくて肩にはのせられないため、ベルトで首から吊るします。長らく絶えていた楽器ですが、近年復元・製作されました。
 出演の寺神戸亮さんは、チェリストではなくヴァイオリニスト。ヴァイオリンと同じテクニックで弾けるのがこの楽器の特徴とのことで、バッハの無伴奏チェロ組曲を演奏しました。いろいろな資料や楽譜を研究していくと、どうもバッハがこの曲を作曲するときに想定していた楽器は現代のチェロではなく、この横に構えるヴィオロンチェロ・ダ・スパッラだったらしい、ということを様々な資料をスクリーンに映しながら謎解きのように解説していきました。横向きにチェロを構えている絵が映し出されると、会場からも驚きの声が上がっていました。
 これが本当の姿かも知れない……という楽器でバッハの名曲を聴く、楽しい演奏会となりました。(北川)

ラベル:

2008年12月17日水曜日

移動楽器博物館

 12月1日から5日まで白脇小学校にて移動博物館をおこないました。移動楽器博物館は市内の小学校を回り、楽器を通して世界の様々な文化を紹介している大切な博物館活動です。
サボテンでできた雨の音がする楽器‘パロ・デ・ジュビア’(スペイン語で「雨の棒」という意味)や、アフリカの‘お話し太鼓’、‘親指ピアノ’など、初めて見る楽器に、こどもたちは興味津々でした。なかでも小学校2年生の国語の教科書に載っている「スーホの白い馬」というモンゴルの民話に出てくる‘馬頭琴は’大人気。休み時間や昼休みにも「馬頭琴弾きたい!」とたくさんのこどもたちが集まってきます。
 移動博を終えた週末には、おうちの方を連れて大勢の白脇小のこどもたちが楽器博物館に遊びにきてくれました。
 これからも楽器博物館は小学生と仲良くなりたいですね。(伊藤)

ラベル:

2008年11月13日木曜日

企画展「大正琴の世界」

 11月9日から企画展「大正琴の世界」が始まりました。会期は来年2月1日までです。
 大正琴は現在愛好者人口数万とも数十万とも言われる国民的楽器。中高年はもとより最近は学校教育でも授業やクラブ活動に採用されています。
 この大正琴、生まれは大正元年で、考案者は森田吾郎さん。名古屋、大須の人です。森田屋旅館の息子さんなのですが、小さい頃から音楽が好きで、月琴、一弦琴、二弦琴などをたしなみました。特に明笛の演奏は上手だったそうです。そんな森田吾郎は、楽器の発明も行いました。バンジョーのようなムーンライトや、陽琴、金剛琴などですが、現在にまで伝承しているのが唯一この大正琴。
 企画展では、森田吾郎の人物像や各時代の大正琴、世界に広がった大正琴を紹介しています。11月29日には名古屋芸術大学教授金子敦子氏の講演会も開催。大正琴の魅力を再発見してください。(館長)

ラベル:

2008年9月1日月曜日

ハーモニカ・コンサート

 今年の夏の驚異的な暑さもようやく落ち着き、今日からいよいよ9月です。楽器博物館は、中国敦煌莫高窟壁画からの復元楽器とブラジル各地の楽器の展示を見学にこられた皆さんで賑わいました。モンゴルの馬頭琴は、体験コーナーの新設やワークショップ、ミニコンサートを行い大人気でした。体験コーナーは今後も常設ですので皆さん是非おいでください。
 さて、9月のお楽しみは23日のレクチャーコンサートです。世界的にも絶大な人気のスーパーハーモニカ四重奏団スヴェングを、フィンランドからお招きしての開催です。北欧トラッドからタンゴにブルース、ラグタイム、アニメ音楽まであらゆるジャンルの音楽を楽しく超絶技巧で吹き飛ばします。大阪や東京ではチケット完売も。浜松はホールも小さいのでプレイヤーとの親近感も増します。皆さんこの機会を是非お聴き逃しなく。(館長)

ラベル:

2008年8月21日木曜日

琴と箜篌

 琴(きん)は紀元前より現代まで伝承する中国の7弦のコト。古琴(こきん)とか七弦琴(しちげんきん)とも呼ばれます。琴柱(ことじ)がなく、左手で弦を押さえて音程を変えます。琴の音楽はユネスコの世界無形文化遺産に登録されています。箜篌(くご)もやはり紀元前にアッシリアに生まれたハープ。漢の時代に中国に伝わり唐の時代に最も栄えた楽器です。しかし残念ながらその伝承は途絶えてしまいました。
 このふたつの古代楽器のミニコンサートを8月10日(日)におこないました。演奏は琴が山寺美紀子さん、箜篌が杤尾麗さん。有名な漢詩を曲にした「陽関三畳」、敦煌琵琶譜から「傾杯楽」「又慢曲子」ほかを演奏しました。
 琴はささやくような小さな音響。しかしその繊細なニュアンスの素晴らしさは筆舌につくしがたいものがあります。箜篌は見た目にもエレガント。琴に比べると大きな音ですが、やはりひとつひとつの音を大切にして、語りかけるように演奏します。
 何千年も生きてきたふたつの楽器。古代シルクロードの音に酔いしれました。なお前日の9日には「甦る古代中国の音」と題して、明木茂中京大学教授による講座を行いました。(館長)

ラベル:

2008年8月18日月曜日

馬頭琴体験コーナー

 馬頭琴の体験コーナーができました。楽器博物館には1階展示室の一番奥に体験ルームがあって、アフリカのジェンベ太鼓や親指ピアノ、ハンドベル、アンクルン、ピアノ、ギターなどが自由に演奏できますが、そこにモンゴルのあの有名な馬頭琴が加わりました。小学校2年生の国語の時間に「スーホの白い馬」という馬頭琴誕生の物語を習うので、日本人ならほとんどの人が知っている楽器ですが、体験することはなかなかありません。楽器博物館でも今まで展示はしていましたが、やっと自由に演奏できる体験コーナーができました。連日大人気です。壁にはモンゴル大草原の写真がはってあるので、記念写真にももってこいのコーナーです。音を鳴らすのはなかなか難しいのですが、皆さん挑戦しています。ぜひ体験してください。ただし、弦楽器はとても繊細で壊れやすいので、取り扱いはやさしくていねいにしてくださいね。(館長)

ラベル:

2008年8月14日木曜日

馬頭琴ワークショップ

 6日(水)にモンゴルの弦楽器「馬頭琴」のワークショップをおこないました。参加者は小学校4年生から6年生までの17人。講師は馬頭琴レクチャーグループ「サランモル」の皆さん6人。
 写真を見ながらのモンゴルの大草原のお話、モンゴルに暮らす動物のお話、お家「ゲル」の話、モンゴルの踊りを踊って、モンゴル衣装を着て、おいしいスーティ茶を飲む。そしてお待ちかねの馬頭琴の体験。30分くらいでキラキラ星がひけるようになりました。
 「モンゴルの服を着て、馬頭琴やお茶を飲んだりして、まるでモンゴル人になった気分になって、とても楽しかったです。モンゴルの説明もわかりやすくて、モンゴルに行ってみたいと思いました。」と小学6年生の女の子。
 馬頭琴は小学校2年生の国語教科書で勉強する「スーホの白い馬」の楽器。本物がひけて、みなさんとても満足の様子でした。(館長)

ラベル:

2008年8月4日月曜日

中国古代楽器のミニコンサート

 3日(日)に展示室で特別展「敦煌莫高窟壁画からの復元楽器」の関連イベントとして、中国古代楽器のミニコンサートを行いました。五弦琵琶(ごげんびわ)、阮咸(げんかん)、編鐘(へんしょう)、編磬(へんけい)、方響(ほうきょう)の5つです。演奏は五弦琵琶と阮咸がウェイウェイさん、その他が孟暁亮(モン・シャオリャン)さん。
 五弦琵琶と阮咸は正倉院所蔵の国宝、7世紀の楽器のレプリカ。編鐘と編磬は2300年前の中国の古代遺跡、曾侯乙墓(そうこういつぼ)からの出土品の模型です。
 敦煌で発見された古代楽譜から復元された曲「傾杯楽」(けいばいらく)他を演奏しました。現代の中国音楽とはまったく趣の異なる曲ばかりで、すべてはゆったりと流れる曲。聴衆は優雅な古代音楽を楽しみました。
 9日には「甦る古代中国の音」と題した講座、10日には中国古代楽器ミニコンサート第2段「古琴(こきん)、箜篌(くご)=ハープ」が開催されます。ぜひお越しください。(館長)

ラベル:

2008年8月3日日曜日

特別展「音彩浪漫ブラジル紀行」

 7月13日から始まっている特別展「音彩浪漫ブラジル紀行」。サンバだけではないブラジル音楽の魅力を紹介しています。
 ブラジルは南米大陸の約半分、世界第5位、日本の23倍という広大な面積の国。人々も黒人、白人、インディオと、その何世代にもわたる混血、そして近年では多くのアジア人と複雑多彩で、それがそのまま文化の多様性につながっています。
 底抜けに明るくにぎやかなサンバ、オリシャの神々に祈る黒人系宗教のカンドンブレ、モザンビーキ、マラカトゥ・フラウ、コンガータなどキリスト教やアフリカ系の沢山の地方色豊かな伝統芸能、自然と共に暮らし精霊を敬うアマゾン・インディオの祭礼など、ブラジル人でさえあまり知らないブラジルの音楽・芸能の数々を紹介しています。
 日本人がブラジルに移民して100年の記念の年です。是非ご観覧ください。(館長)

ラベル: